平和への無関心が浮き彫りに TOPへ戻る

「広島学生平和委員会」(高村委員長)は、98年12月から99年1月までの期間、中国各地600人の大学生を対象に「学生平和意識調査」を実施。そのうち497人(82・8%)が回答を。94年、96年の調査結果と比較し、紹介する。

(写真右)
学生平和意識調査は総広島学生部「ピース・スクエア」で発表された「平和への無関心さ」が浮き彫りとなり、参加者は改めて平和実現への行動を誓い合った(広島池田平和記念会館) 。

調査を実施して
 高村広島学生平和委員会委員長
アメリカが広島と長崎に原爆を落としたことについて、
あなたは現在、どう考えていますか?

1998年5月、インド・パキスタンが相次ぎ地下核実験を強行。12月にはアメリカ・ロシアが臨界前核実験を――。実戦での核兵器使用はないまでも、世界では今なお紛争が絶えない。
 そうした世界情勢のなかで、現在の学生は、戦争と平和について、どう理解し、どう行動しようとしているのか――。
 全体を通して最も目立った点は、学生の平和に対する「無関心」「無力感」「冷笑主義的傾向」です。まず、アンケートを行った実感として、「面倒くさい」などの理由で、回答を断る人が何人か見られました。また、調査結果からも、「原爆を落としたこと」について、「やむを得なかった」「許せない」との主体的回答が減ると同時に、「どちらとも言えない」が、1996年の34%に比べ1998年は46%と大きく増加しています。これは、現代の風潮を如実に現す結果と言えないでしょうか。
 一つには、社会的病理とも言える「やる気のなさ」でしょう。しかしもう一方では、学生の原爆に関する基本的な知識が備わっていないことにより、判断をしかねているとも考えられます。
 また、「原爆被災の実態を後世や世界の人に伝える必要がある」(87%)、「核実験はすべて禁止すべきである」(88%)と、平和を求める声が高い数値を示している反面、「平和運動にかかわってきたことがある」人は20%にとどまっています。
 ここからも分かることは、漠然とした平和意識を持ちつつも、それを主体的行動に移すまでのパッション(情熱)が消失しつつある現状です。
 この結果を踏まえ、改めて歴史を学ぶことの大切さや、伝えていくことの難しさを実感しました。学生の意識の中で戦争が過去のものとなり、また現在、世界各地の紛争を「対岸の火事」視する精神性を、どう変革していくか。この課題に広島学生平和委員会として、着実に、多彩に挑戦していきたい。
 「戦争の世紀」だった20世紀の教訓を受け継ぎ、21世紀が「戦争と戦う世紀」になるよう、前進してまいります。

新しい形態の歴史継承運動が必要
松尾 雅嗣 広島大学教授 同大学平和科学研究センター長
学生平和委員会の「まとめ」は、おおむね妥当なものと言えよう。
気になった点は、「戦争」「平和」と言うとき、だれにとっての「戦争と平和」なのかという問題を考えておく必要がある。遠い将来の理想は別として、現在、世界あるいは人類全体が等しく平和であるかないか、を論じても(国や地域で差異があるので)あまり意味をなさない。
この調査は学生諸君の貴重な試みであるだけに、事前に多くの疑問を提起して検討し、自分たちの理解を深めておくと、更に良いものになるであろう。
諸君が述べている通り「歴史」認識が重要であることに異論はない。しかし、歴史をあるがままに理解するということはあり得ない。一定の世界観、あるいは理解のワク組みを通じてのみ、理解することができる。
「戦争と平和」について、「どのような立場に立って理解するか」との大前提となる問題を、若い諸君には今後一層、真剣に考えてほしい。
河瀬 正利 広島大学教授
学生平和委員会の「まとめ」は、おおむね妥当なものと言えよう。
気になった点は、「戦争」「平和」と言うとき、だれにとっての「戦争と平和」なのかという問題を考えておく必要がある。遠い将来の理想は別として、現在、世界あるいは人類全体が等しく平和であるかないか、を論じても(国や地域で差異があるので)あまり意味をなさない。
この調査は学生諸君の貴重な試みであるだけに、事前に多くの疑問を提起して検討し、自分たちの理解を深めておくと、更に良いものになるであろう。
諸君が述べている通り「歴史」認識が重要であることに異論はない。しかし、歴史をあるがままに理解するということはあり得ない。一定の世界観、あるいは理解のワク組みを通じてのみ、理解することができる。
「戦争と平和」について、「どのような立場に立って理解するか」との大前提となる問題を、若い諸君には今後一層、真剣に考えてほしい。

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