「世界平和祈願の碑」を除幕
 戸田城聖第2代会長の「原水爆禁止宣言」40周年を記念し、全世界の「すべての被ばく者」を追悼する意義を込めた「世界平和祈願の碑」が完成。除幕式が1997年6月1日、中国平和記念墓地公園で盛大に開催された。
 これには、学者、文化人、平和運動家など多数の来賓が、中国各県の代表幹部とともに出席。世界的な彫刻家のルイ・デルブレ氏制作の6体の像、信念の言論人・金庸氏の筆による碑銘を前に、核兵器の廃絶と世界平和構築への思いを新たにした。


「世界平和」という人類待望の大彫刻の建設を―
フランスの世界的な彫刻家・デルブレ氏と始めての語らい(1997年6月6日、東京で)

SGI会長
「“世界のヒロシマ”に、偉大なる平和の像をつくってくださったことに心から感謝します。これから、何万、何十万、何百万人、更にもっと多くの人々が、この地を訪れ、平和の像のもとで、平和を思索し、探求し、平和について語り合うことでしょう。悲惨な戦争から立ち上がった偉大なる「人間蘇生の碑」であり、永遠なる「復活の碑」です。「人間復権の碑」です。勇敢なる平和建設の「戦士の碑」です。平和のため、人類の希望のため、人間の尊厳のために、精魂こめてつくってくださった」
デルブレ氏
「私は今、決意しています。これまでは、(芸術の)創造ということで彫刻をつくってきた。これからは『平和のために』彫刻をつくっていくのだ、と」
会 長
「それこそ、人類が待ち望んでいるものです。単なる『芸術のため』から、人類が待望する『平和のため』の芸術へ―― 先生は今、一歩、抜きん出て前へ進もうとされている。素晴らしいことです。今、必要なのは平和です。平和のための芸術です。そのための『明確な哲学』です」

「世界平和祈願之碑」について

 「世界平和祈願之碑」は、被爆50周年の1995年(平成7年)秋、広島で第14回「世界青年平和文化祭」を開催した折り、池田SGI会長より提案があり、戸田第2代会長の「原水爆禁止宣言」から40周年を記念して、1997年(平成9年)6月1日、中国平和記念墓地公園内に完成。全世界の「すべての被ばく者」を追悼する意義を込め、人類初の被爆の惨劇を受けた広島の爆心地の真北に当たる、東経132度27分に建立されました。この碑は、2度と被ばくの悲劇を繰り返させてはならないとの誓いを込め、21世紀を「平和の世紀」「生命の世紀」「共生の世紀」とするため、「平和の原点・ヒロシマ」から世界へ、平和創造の運動を広げゆくという誓願を込めた平和祈願の碑、永遠平和の象徴の像でもあります。



除幕された6体の像の前で、デルブレ氏は「精神の完全なる勝利を目指して」とあいさつ

制作にあたって苦心された点は

 素晴らしい周囲の自然環境と調和を図るには、全体の構造、大きさ、顔の表情をどうするかという点でした。そして更に最後の最後まで、苦心を重ねたことは悲惨な核被害をもたらし、民衆を苦しめている傲慢な権力とどう戦うのか、その平和と希望にかける思い、こうした精神の叫びを像に託してどう表現するかということでした。
この作品が素晴らしい出来で仕上がっていると称賛されるとしたら、私はSGIの皆様の平和創造の運動こそが後押ししてくださったと確信しています。この池田先生の計画を、全面的に信頼した結果の仕事となりました。
彫刻制作者
ルイ・デルブレ氏(フランス)
 1925年フランス北部の農家に生まれる。19歳まで家業の農家に携わるが、1945年、結婚と同時にパリに移り、彫刻家を目指す。1951年「フォネン賞」受賞。1962年には「ロダン・マイヨール・デルブレ展」を開催。ロダン、マイヨールに連なる偉大な彫刻家との評価を得る。その後、ノルウェー、日本、ブラジル、カナダなど、世界各地で個展が開催され、絶賛を博す。1987年「フランス文化勲章」を受賞。

6体の像の
それぞれ意味するところは

正面から見て、1番左側の像は「建設」の像。破壊をもたらす勢力の対極として、平和を建設し、創造していく人間を象徴しています。世界の平和創出には、プランニングをし、リーダーシップをとって行動、実践する人間の存在が欠かせません。このことをイメージしました。この像の未来を見つめるまなざし、表情の厳しさは、平和は戦わなければ勝ち取ることはできないということを表現したかったのです。
次は、「寛容」の像。生命を慈しみ、深くとらえていく姿を若い女性の座像で表現しています。
次は、「勇気」の像。この像は両手を広げ、顔は永遠を見つめて厳として立っています。両手を広げているのは、宇宙を表し、また、自由な羽ばたきを表現しています。顔の表情については結局、3力月かけて何度も作り直しました。平和を実現するという力強さ、確信を示したいと思いました。大地に安定して立っているところから、現実にはしっかり根を張って、未来を見つめて常に成長していこうとするその姿勢を、像の中で1番身長が高いことから表現しています。
続いて、「希望」の像。植物が自然に豊かに育っていく様子を、一人の手を広げた女性像として表現しています。自然との共生を図ると言ってもいいと思います。自然体というか、ゆったりとありのままの姿です。
次は、「後継」の像。子どもを産み育てる根源的な存在としての母親。未来世紀を担い、大いなる希望を持って成長していく姿を、母親に抱き上げられた幼児として表現しています。母親にとって子どもは、自分の所有物でも付属物でもありません。未来を拓くために世界の平和のためにささげる、送り出していく。幼児もー人の人間として、きりっとした表情をしています。後継の使命を決意し、自覚していることを両手を横に広げて表現しています。
最後に、「歓喜」の像。平和の象徴として、実り豊かな果実を捧げ持った女性の像です。飽食の国があるかと思えば、飢餓に苦しむ世界の多くの人たちがいる。これでは決して平和とは言えません。食の実りがいずこであれ、豊かであってこそ、心の底からの歓喜がわき、平和が育まれます。6体の像はそれぞれ背中合わせに外側を向いていますが、これは、この地を平和の原点として全世界、宇宙への広がりを表しています。
(1997年6月1日)