「世界を駆ける“行動の科学者”“平和の英雄”を、最大の敬意をもって歓迎します」「池田会長の“世界平和”への深い理念と卓越した業績はよく存じあげています」
1989年(平成元年)10月、池田SGI会長とパグウォッシュ会議のロートブラット会長との会談は、旧知の友との再会のような親しみあふれる対話で始まった。

 ロートブラット会長は二度の大戦を生き抜いた経験から「『戦争』は人間を愚かな動物に変えてしまう力を持っています。通常の状態では思慮分別のある科学者も、ひとたび戦争が始まると正しい判断を失ってしまう。『野蛮』を憎んでいた人が、自ら『野蛮』な行為に走る。そこに戦争の狂気があります」と語った。
 SGI会長は、仏法者の視点から人間の心の中に平和を築き上げることの重要性を強調。「仏法の思想こそ“心の救済”すなわち“心の平和”の構築という真の平和主義の哲理だと考えています」と述べた。平和を巡る語らいは尽きることなく続いた。

 広島、長崎が被爆して半世紀。東西冷戦は終結しても、核兵器の脅威は未だ存在する。世界の反対の声を押し切ったフランスなどの核実験強行は、核抑止論の亡霊にとりつかれた大国の姿を浮き彫りにした。
 87歳の今日まで、核兵器と戦争のない世界の実現を目指し、一貫した活動を続けるロートブラット会長。その功績が高く評価され、パグウォッシュ会議と同会長に1995年度の「ノーベル平和賞」が贈られた。

プロフィル
1908年ポーランドのワルシャワ生まれ。ワルシャワ大学卒業後、イギリスのリバプール大学で核物理学研究に取り組む。その後、アメリカの原爆製造計画のマンハッタン計画に参加。1944年末、アメリカはもはや原爆開発を続けるべきではないとし、マンハッタン計画から離脱した。戦後、「ラッセル・アインシュタイン宣言」の起草に尽力。宣言の原署名者の一人。その後、パグウォッシュ会議の創設(1957年)に加わり初代事務局長に就任し、核廃絶運動を推進。現在、同会議会長、ロンドン大学名誉教授。
 平和への努力はまさに“戦い”。正義の共戦と連帯を約し合う二人(1989年10月、大阪)