8月度「聖教文化講演会」が1993年8月7日、インドのN・ラダクリシュナン博士(ガンジー記念館館長)を講師に迎え、広島池田平和記念会館で開催された。テーマは「ヒロシマから非暴力の輪を世界へ」。ここでは、講演の抜粋を紹介する。
原爆資料館を見学するラダクリシュナン博士(中央)。熱心に見入りながら、「心が凍りつくような思い」と印象を語っていた。
 アヒンサー、非暴力とは何か。何者をも傷つけないこと、害さないこと、そして殺さないことです。釈尊の説いたこの非暴力の哲学に、ガンジーは大きな影響を受け、その理念に基づき闘いました。まさしく彼の強さは宗教的価値からきているのです。ガンジーにとって宗教とは人々の生命を支えるものであり、人生を崇高な高みへと引き上げ、豊かにするものであると考えていたのです。
 ガンジーの偉大さはどこにあるかといえば、彼の非暴力の原理を個人から社会、政治の分野まで拡大させたことにあります。非暴力は、人間が自由に使える最高の力であり、人類が発明した最強の破壊兵器よりも更に強力なものなのであるとガンジーは確信していました。しかし、ガンジーの意見に反対する人もいました。ガンジーは、政治と宗教を混同しているといって批判したのです。
 それに対しガンジーは「宗教なき政治は死体のようなものである。すなわち生命を失ったシステムである」と答えています。宗教的価値に基づく政治を導入することによって、政治の浄化を図ったのです。確固たる理念、あるいは精神的、宗教的価値のない社会は衰退してしまう、とガンジーは述べています。
 私は世界各地で講演する機会があり、その地域の平和運動をつぶさに見てきました。そのなかで驚嘆した運動の一つがSGI運動であります。地球的な規模の深刻な危機に対して、真剣に憂え、国際的な運動に取り組んでいる極めて比類なき団体で、重要な存在であります。
 そして文化祭、展示会、平和提言、環境に関する会議などを通して、民族間の広い理解を育もうとされています。平和を求め行動する一学徒として、SGI会長の池田大作氏を非常に尊敬しています。池田SGI会長は、世界の各国の知性と数々の対談を重ね、平和と親善の新時代、新天地を開拓しようとされています。何よりもSGI会長は、戦争のない世界を築こうとされています。ある意味で、不可能と思えることへの挑戦を続けていると言っても過言ではありません。
 世界中の様々な人々がSGIと池田SGI会長の仕事に共感の言葉を贈っています。例えば、私の師匠であり、ガンジーの高弟であるラマチャンドラ博士、南アフリカのネルソン・マンディラ氏など名前を挙げれば、きりがないほどです。ハワイ大学の非暴力研究センターのグレン・ペイジ教授などもその一人です。
 世界に相互理解の新しい時代を開くものであり、人間の偉大なる可能性を開発する驚嘆に値する運動だと思います。
 地球規模の非暴力への目覚めは、まさに今の時代の要請であり、広島と長崎の教訓は、池田SGI会長の指導のもとにSGIが全力で取り組んでいる戦争なき世界実現への絶対の要請へとつながっています。平和の世界を築くためにここまで大きな貢献を果たしたところは、私はSGIを除いて他のいかなる団体も成し遂げたところがないと確信します。また、SGIの運動は21世紀を大きくリードする運動であり、SGIの精神性がやがて世界を包みゆくことを確信しています。偉大な指導者、偉大な運動は、多くの困難に立ち向かわなくてはなりません。
 ときには嫉妬深い聖職者が立ちはだかることもあるでしょう。しかし、真実の宗教を牢獄に閉じ込めておくことはできないのです。
 講演を終わるにあたって、真実の仏法の精神を世界中に広め、私たちの手で「ノー・モア・ヒロシマ」を世界中に訴えていきたいと念願するものであります。

平和公園の原爆慰霊碑に献花
ラダクリシュナン博士は、青年部・被爆者の代表と慰霊碑に献花。非暴力の輪をヒロシマから世界へと広げる心も深く。
講演会参加者の声
安芸郡府中町

川上政子
被爆者として、また広島に住む学会員の使命の重大さを深くかみしめました。「ヒロシマから非暴力の輪を世界へ」と広げていく決意を新たにしました。

広島市

安家 縁
“ヒロシマの心”をわかりやすく教えていただいた思いです。自分の“小さな心”を“大きな心”にしなければと反省した一夜でもありました。平和に対する姿勢、謙虚さ等、偉大な人格に打たれました。

山口県宇部市

横藤田 誠
現代の世界を覆う危機への深い憤り。それ故の池田SGI会長、SGIへの熱き思いがヒシヒシと伝わってくる講演でした。“弟子”を自称する私でしたが、それだけの思いであったろうかと“弟子の道”を改めて考えさせられ、感動しました。